HDTV対応海外衛星Linuxツインチューナー「IPBox 9000HD Plus」

Linuxチューナー
01 /16 2010
→ 機能と使用方法についてのまとめ(2011年1月作成)はこちら

昨年12月中旬、ドイツのHM Sat Shopから購入[ →購入記録についてはこちら ]したLinuxツインチューナー「IPBox 9000HD Plus」の使用感について遅ればせながら記したいと思います。

■購入の経緯

長らくKuバンド用90cmアンテナ駆動用チューナーが不在の状態が続いていましたが、今回CバンドとKuバンドのモーターを別々に駆動できるHDTV対応Linuxツインチューナー「IPBox 9000HD Plus」をドイツより個人輸入しました。

初代のHumax HDCI-2000(譲渡済)・その後長らくメインチューナーを務めたTF7700HSCI(譲渡済)・TF7700HDPVR(機能関係の都合でeBayにてオセアニアへ譲渡済)・AZBox HD Elite(現在の副チューナー)と、海外衛星のDVB-S2(HDTV)チューナーだけでもこれが5台目です。

DVB-S2チューナーを2個搭載している/搭載可能なHDTVチューナーとしては3台目なのですが、今回ようやく2基の回転アンテナを誤作動無しにそれぞれ独立して制御できるツインチューナーを手に入れることができました。

実際のところ2台のチューナーを買ってCバンド用、Kuバンド用に分けた方が安くて簡単なのかもしれませんが、

●できればメインチューナー1台でC/Kuバンド双方の衛星・チャンネル間を素早くそして楽に移動したい
●チューナー類とネットラジオ端末やIPTVチューナーが増えすぎてコンセント穴の数とブロードバンドルータの有線LANケーブル用端子が不足している
●将来チューナーの遠隔制御を考えているので、できれば海外衛星STBの数を1台に抑えたい

といった理由から、今回は1台で駆動モーター2つを制御できる環境の整備を重視することにしました。

安定性・良好な操作性・高機能を求めた結果色々なHDTVチューナーを渡り歩くこととなってしまった訳ですが、そのお蔭で色々な知識を得ることができ、画質や機能の比較もだいぶできるようになってきた気がします。

■IPBox 9000HDについて

今回購入したAB IPBox 9000HD Plusはスロバキアab-com社が売っているLinuxチューナーで、韓国DGStation社製CubeRevoのOEMになります。中身は同じでファームウェアにも互換性があるため、普段利用しているドイツHMSatで取り扱いがあり、かつ外観が美麗な方のIPBoxを選びました。

IPBox 9000HDがシングルチューナーなのに対して、IPBox 9000HD Plusは最初から2基搭載したツインチューナーモデルで、私は双方ともDVB-S2チューナーという構成で注文しました。

対応HDDを探すのも面倒だったので、国際輸送中の破損トラブルの心配もありましたがHDD搭載オプションも追加しました。幸いHDDについては今のところ問題は起こっていません。一応クラッシュすることなく日本に届いたようです。


■外観



前面はそれなりに高級感のある作りです。チューナーやHDDを積んでいることもあり本体はかなりずっしりと重量感があります。



前面カバーを開けるとボタンやスロットが出てきます。カバーがボタン部分とスロット部分で分けられていないので、何をするにもカバーを全開にしなくてはならず、多少の不便を感じました。



背面には色々な端子が並んでいます。ちなみに180V~対応とプリントされていますが、スペック表にもある通り実際には110V~対応で正解のようです。



チューナー1とチューナー2のスロットにそれぞれDVB-S2チューナーが挿さっています。



通信用の各種端子が揃っています。Linux HDTVチューナーとしては数が多い方かと思います。



立派なファンが付いており排熱対策も万全です。ファンを回していれば今の時期HDD温度が40℃を超えることはまず無いようです。



大き目のリモコンです。操作性はまずまずで今の時点ではチューナーの反応がもっさり気味でやや不便を感じます。


■IPBox 9000HDで気に入った点

●購入候補に挙がったDM8000HDよりも遥かに安い。
●Linuxチューナーなのでルータを介してPCで各種データを管理できる。
●ツインチューナーに対応しておりチューナー1、チューナー2で2回転アンテナを個別に制御できる。
●画質がクリアでシャープ。SD放送も他のHDTVチューナーと比べて画質が多少改善されたように感じることができる。


■IPBox 9000HDの不便な点、困った点

(以下は購入当初の状況です。その後多くが改善されていますので購入の参考にされる場合はご注意ください。)

●公式ファームウェアを使うとNTSC出力に切り替えられない
公式ファームウェアではNTSC出力に対応しているはずが、メニュー画面の改変が行われていないせいか、実質的には576p、720p、1080i 50しか選べなくなっています。そのため1080i 60であるNSTCのHDTV放送がスムーズに再生されません。
【追記】
2010年春現在、公式ファームウェアにおいてもこの問題は解消され、NTSC出力も普通に選択できるようになっています。

●PAL、NTSCの出力切り替えにリブートが必要
TF7700HSCIやAZbox HDは番組視聴中にアスペクト比ボタンを押すだけでNTSC、PAL間の切り替えや出力解像度の変更が簡単にできるのですが、IPBoxは背面電源ボタンを押してリブートをかけないと変更が適用されません。これはPAL、NTSC放送間を頻繁に移動する日本の海外衛星受信環境にはあまり向いていないように感じました。

●最新ファームウェアでツインチューナー対応がおかしくなっている
最近のファームウェアではかつては大丈夫だったツインチューナー対応に退化が起こっており、チューナー2にアクセスできないなどおかしな状態になってしまいました。そのため「2回転アンテナ制御可能なDVB-S2ツインチューナー」目的で購入した私は少し前のファームウェアバージョンを止むを得ず使っています。
【追記】
その後ユーザーメニューインターフェース変更によるバックアップファイル関係の問題であることが分かり自己解決しました。ツインチューナー機能自体は引き続き正常に動作しています。

●ファン音が大きい
排熱対策が万全である一方、テレビの音が小さい時はファン音が大きく感じられかなり気になります。音量としてはノートパソコン並なのではないかと思います。これは海外フォーラムでも挙げられていた点ですが、幸い現時点ではプラグイン等でHDD温度の確認やファンのON/OFF管理ができるので、夜間はOFFにするなどして対処しています。

●とにかくよく落ちる、フリーズする
このチューナーは頻繁にフリーズします。突然落ちてリブートしなければならないこともしばしばで、「海外衛星の見られる不安定なLinuxマシン」を使っているという実感を味わっています。ファームウェア更新による改善ペースもそう速くないようなので、色々なバグが今も残っている、というのが実情の模様です。何度もリモコンボタンを押すような操作で落ちることが多いので怖々使わなければならず、非LinuxチューナーであるTOPFIELD製TF7700HSCIの安定性が懐かしくなることもあります。
【追記】
2010年春現在、ファームウェア更新によって頻繁なフリーズは解消されました。今のところ普通に操作している範囲では発生していません。

●サーチ画面にて同じ周波数の偏波違いを区別できない
同じ衛星で3700H、3700Vという具合に同じ周波数で偏波とSRが違う物をそれぞれ登録すると、トラポン別チャンネルサーチ画面で区別できず、どちらも3700H、3700Hと表示されてしまいます。衛星単位でのオートサーチでは3700H、3700Vのチャンネルがそれぞれ登録されるので非常に困るというほどではないのですが、3700Vだけ個別にサーチをかけられないので改善を待っている状況です。


■補足

ヨーロッパでIPBox(CubeRevo)のユーザーが拡大しているのは高価なDREAMBOXの代用としての色彩が強いため、予算さえあればDM8000を買ってしまう人が多いようです。

いずれにせよLinuxチューナーは総じて「いつまで経っても未完成」といった色彩が強いようなので、特殊機能さえ要らなければやはり非Linux HDTVチューナーを買うのが一番良いのかもしれません。

ともあれ今回は6万円台でツインチューナーを買う、という目的は達成できたのでそれなりに満足はしています。不足部分はもう1台のAZBox HDで補っているので、当面の間新しいチューナーは買わずに済みそうです。

虎太郎

デジタル機器の好きな元文系人間です。家のあれこれで機材のメンテナンス継続が難しくなり海外衛星受信やPC自作は引退。

最近はPCやタブレットを使ったインターネットTV、STBのリモート視聴機能、Slingboxによるライブストリーミング、Android TV Boxにて国内外の放送を楽しんでいます。

所有Slingbox;
PRO-HD、350、500、M2

所有PC;
Windows 10、Windows 7

所有タブレット;
iPad、Android、Windows 10

その他;
Apple TV、Android TV Box