海外衛星のLinuxチューナーとは?

Linuxチューナー
02 /11 2010
海外衛星チューナーでもマニア向けとされるLinuxチューナーについて少しまとめてみました。

■Linuxチューナーの機種や用途について

海外衛星チューナーの中にはパソコンのOSとして有名なLinuxで動いているリナックス・チューナーがあります。

その代表たる機種がドイツにあるDream Multimediaが売っているDreambox(機種名としてはDM500、DM600、DM800HD、DM8000HDなど)で、それに追随する形で私が所有しているようなAZBox HDやIPBox(CubeRevo)他が開発・発表されているといった状況です。

海外衛星の受信以外にも写真・音声・ビデオファイルの再生に対応しているなどマルチメディアプレーヤー的な色彩が強く、パソコンにインストールされたウェブブラウザのようにアドオンやプラグインを追加することで機能を増やしていくことができます。

追加できる機能はLinuxチューナーにより異なりますが、
 ・スクランブル解除機能
 ・RSSニュースフィード
 ・YouTube再生メニュー
 ・Web簡易ブラウザ機能
 ・天気予報
 ・ネットラジオ
 ・Googleマップ表示機能
などを良く見かけるように思います。

またメニュー画面も通常のチューナーよりもデザインが美麗な物が多く、PC等によるファイル操作ができるようであればスキンによる着せ替えも可能になります。メニュー画面はマニアにとって便利な機能や項目があれこれ用意されていますが、もしかすると初心者にとってはかえってとっつきにくいかもしれません。


■Linuxチューナーに欠かせないLAN接続



こうしたLinuxチューナーの機能を利用するには家のPCや外部ウェブサイト/サーバとの接続が欠かせないため、チューナーにはLANケーブル接続用端子もしくは無線LANによるネット接続機能が備えられています。

ファームウェアの更新は最近のモデルならば大抵はUSBメモリ経由でも行えるようになってはいるはずですが、衛星・チャンネル情報のバックアップや各種ファイルの転送をする上ではLAN経由での接続はある意味不可欠です。また機種によってはLAN端子、USB端子という経路があるということで昔ながらのシリアル端子(RS-232C)を装備していない物も多いようです。

手持ちのPCでチューナーを管理するにはルータを利用することになり、通常以下のような形で接続します。



PCにインストールされた専用管理ソフト・エディタもしくはFTPソフトではあらかじめ
 ・LinuxチューナーのIPアドレス
 ・使用ポート番号(FTP、Telnet)
 ・ログインユーザ名
 ・ログインパスワード
を指定したのちフォルダ・ファイルを操作できるようになるのですが、上の数値設定が間違っているとチューナーにアクセスできないので要注意です。

【チューナーとPCとの間の接続手順の概要】


1)まずチューナー側のネットワーク設定画面でチューナーのIPアドレスを調べます。上の例では「192.168.11.3」となっています。


2)製品案内(載っていなければウェブフォーラム等で調べます)に従い、そのチューナー特有のログインユーザ名とパスワードをPC側の接続用ソフトに入力します。この際同じチューナーでもファームウェアの開発チームが異なる場合はパスワードがメーカー開発純正ファームウェアのそれとは違う場合があるので要注意です。


3)無事に接続できるとチューナー側のフォルダが一覧表示されます。こうしてファイルを直接PCのフォルダとやり取りすることで、バックアップを取ったり追加機能関係のファイルをインストールすることもできます。


■PCのウェブブラウザでチューナーを操作・放送を視聴



海外衛星Linuxチューナーと同じルータに接続されているPCのウェブブラウザにチューナーのIPアドレスを入力することで、録画予約の管理をしたり現在電源ONになっているチューナーが受信している海外衛星放送を視聴したりするウェブインターフェースが用意されている機種も多いようです。



上の写真はIPBox 9000HD Plusのウェブインターフェースです。バーチャルなリモコンが用意されており、チューナー側の映像を見られるようになっています。

別の部屋にあるPCで海外衛星を見ることができるので、「居間にチューナーがあるものの夜中自室でゆっくり海外衛星を楽しみたい」という用途に向いているかもしれません。


■スクランブル関係について

海外でもLinuxチューナーはスクランブル解除機能が目当てで買う人も多いようで、日本でもDreamboxといえばCCCamとプロバイダ契約による有料放送視聴に使う機種、といったイメージが強いかもしれません。

実際のところLinuxチューナーには最初からこの機能が備わっている訳ではなく、普通は後から追加する形でエミュレータ関連の設定を行う必要があります。

ただ難しめのインストール・設定が必要になるケースだとFTP接続でファイルを転送した後パーミッションを755に変更するといった作業を行ったりするので初心者には難しいことも多く、更に設定方法が悪いとスクランブル解除機能が作動しないこともあるとか。

面倒なことにスマートカードスロットがついているLinuxチューナーは購入当時はスマートカード読取機能面でまっさらな状態であることも珍しくないようで、自分が持っている有料放送視聴用の契約カードを挿し込んで放送を見るために、自分でスマートカードリーダーをアクティブにするためのインストールや設定をこなす必要があるようです。もし英語等で情報収集をしながらLinuxチューナーのスマートカードスロットを生きた状態にする自信が無い方は、この点に要注意かもしれません。

(実際のCCCamファイル設定については私自身十分理解しておらず、また権利侵害や海外現地における法律抵触に関わってくる話題なので、ここでは割愛したいと思います。)


■Linuxチューナーのファームウェア

Linuxチューナーは発売元のメーカーが開発・提供するファームウェア以外にも色々なファームウェアが出回っています。

○公式ファームウェアに基づき外部の各開発チームが作成したファームウェアで、バージョン番号が公式ファームウェアと共通している物
○公式ファームウェアとバージョン番号を合わせているタイプではないものの、そのチューナーのハード上で動作するように開発された第三者によるファームウェア
○Dreamboxで使われているファームウェアを他のチューナーに移植できるようにいじり直したEnigma

というのを良く見かけますが、慣れない内はメーカー製の純正ファームウェアを使うのが一番無難だと思います。

ちなみにLinuxチューナーのファームウェアは、製品を出した後に色々な方面の協力を得て洗練を重ね開発を進め完成度を上げていく形を取るという度合いが通常の家庭向け海外衛星チューナーよりも高くなっています。

そのため新機種が発売された当初はバグが多く、使用者にかなりのストレスを与える状況を生み出しかねないという短所を抱えています。私自身、チューナーが死亡しかけたり、訳の分からないトラブルで堂々巡りをしたりとLinuxチューナーを通じて色々な勉強をしました。購入後何度もファームウェアアップデートを重ねて着実に改善されてきてはいるのですが、以前持っていたTopfieldのTF7700HSCIに比べると依然としておかしな動作が多いように感じています。

通常1~2年をかけてまともなチューナーに仕上がっていくらしいのですが、それでもおかしな部分が残っていることも多々あるようで、トラブル動作の少ないファミリー向けチューナーを好む方にはお勧めできない点の一つとなっているように感じます。

【別のチューナーがDreambox風に変身・・・】

Dreamboxに使われているEnigmaファームウェアを別のチューナーに移植するというのはLinuxチューナー以外にも試みがなされていて、Topfield製といった普通の家庭向けチューナーの特定機種にEnigmaファームウェアを無理矢理入れてスクランブル解除までできてしまうボックスに変身させる、という技術が紹介されているのを海外ウェブフォーラムで見たことがあります。これについてはチューナーを管理する高度なスキル、インストール後の不具合を許容するといった点が前提となるので、遊び以外で試すのは止めたほうが良さそうです。

またLinuxチューナーのデュアルブートという技もあり、チューナーメーカー発表のオリジナルファームウェアをHDDに残しDreambox由来のEnigmaファームウェアを外部USBメモリに入れるという形で分け、1台のチューナーでどちらのファームウェアを使って起動するかを選べるそうです。私の持っているLinuxチューナーもその技を使えるのですが、色々とコツが要るようで怖くて試したことがありません。

なお、LinuxチューナーによってはDreamboxではないにもかかわらず発売時からDreamboxに使われているEnigmaがインストールされた状態の機種が存在します。例えば最近ドイツで出回っているVU+はEnigma2が入ったツインチューナーなのに450ユーロ前後で買えるため、倍の価格で売られているDM8000HDの安い代替品として話題になっているようです。


■起動するまでの時間について

Linuxチューナーは普通の海外衛星チューナーよりも起動時間が長いと思います。

電源を完全に切った状態から起動する場合には「ブートしています」、「ロードしています」、「USBデバイスチェック中です」などといったメッセージが表示され、ようやくチューナーがONになるといった感じです。

PCのWindowsマシンよりも起動時間が長めにかかるなど毎回このON/OFFをしていると面倒なので、私の場合は毎日使用するメイン機の方をスタンバイモードにしておいて、ONボタンを押すとすぐに海外衛星が見られるようにしています。


■Linuxチューナーを買うにあたって

Linuxチューナーは確かに高機能なのですが必ずしも使い勝手が良い訳ではないので、「Linuxチューナーにしか備わっていない機能をどうしても欲しい」ということがなければ、普通の非Linuxチューナーを買った方が良いかもしれません。

実際のところ、「非Linuxチューナーをそのまま使いたいがCCCamサーバも利用したい」という層はLinuxチューナーを買わず、通常のCIスロット付モデルにCCCam対応CAMを取り付けてしのぐというケースも多いようです。欧州のショップやフォーラムを回るとそうした特殊CAMの情報が頻繁に交換されており、同商品の流通規模が大きいことがうかがえます。

ちなみに欧米ではやはりDreamboxがトップ製品のようですが、上位機種はかなりの高額になるということで、その他の代替製品に顧客が流れているといった状況のようです。安定性やユーザーの多さという点ではDreamboxが依然としてリードしているようですが、4:2:2放送を見たい人はAZBox HDを選ぶなどある程度の棲み分けもできているとか。

感度、画質の全てにおいてLinuxチューナーが他の非Linuxチューナーにまさるということもないため、購入を検討する際には海外サイトで評判や機能に関する実際の声を収集してみるのが一番良いのかもしれません。

また上にも記した通り発売間もない新機種はバグが多いので、どうしてもすぐに入手したい場合を除いてはしばらく待ったり、仮に購入するとしてもメインチューナーをすぐに手放さずLinuxチューナーを予備機として使いながら様子を見ることをお勧めしたいと思います。(実際のところ、海外フォーラムでも“新しいLinuxチューナー購入にあたって前のチューナーをさっさと売り払ってしまい後悔した”という書き込みを見かけることが多いです。)

なおLinuxチューナーは高機能で5万円~10万円前後になることも珍しくなく、高価格な本物の代わりとして中国製のクローン(模造品、レプリカ)が流通するケースがしばしばあるようです。Linuxチューナーを買う場合にはそれが本物なのかどうかを把握しておかないと、後からトラブルが起きた場合に本物とは違う対処方法が必要になることもあるので要注意です。

虎太郎

デジタル機器の好きな元文系人間です。家のあれこれで機材のメンテナンス継続が難しくなり海外衛星受信やPC自作は引退。

最近はPCやタブレットを使ったインターネットTV、STBのリモート視聴機能、Slingboxによるライブストリーミング、Android TV Boxにて国内外の放送を楽しんでいます。

所有Slingbox;
PRO-HD、350、500、M2

所有PC;
Windows 10、Windows 7

所有タブレット;
iPad、Android、Windows 10

その他;
Apple TV、Android TV Box