海外衛星HDTV(DVB-S2)(ハイビジョン)チューナーについて&購入の目安

海外衛星チューナー
03 /05 2010
【関連ページ】
 →DVB-S2チューナーのスペック、各種解像度について
 →海外衛星チューナーの説明と選び方

■DVB-S2チューナーとは

海外衛星はここ数年で従来の非ハイビジョン・デジタル方式SD海外衛星放送であるDVB-S方式に加え、次世代の高画質HD(ハイビジョン)放送であるDVB-S2方式の放送が増加しています。

常時無料であるFTA放送に関してはまだ数は多くありませんが、興味深いチャンネルがHD放送として伝送されています。今後も数が増えることが予想されるため、HDTVチューナーの普及が進みラインナップが充実している今の段階であれば購入しても十分楽しめるのではないかと思います。


■DVB-S2チューナーの機能と機種選び

海外衛星のHDチューナーはDVB-S2方式のHD(1080i)放送や同じく新しい方式のMPEG-4放送を再生することができます。普通の海外衛星チューナーでは真っ黒になってしまうなど正常に視聴することができない放送なので、見たい場合は必須です。

しかしNTSCの対応も含めて各チューナーには長所・短所があり、欧州のユーザーには特に気にならなくともNTSC放送圏でもある日本のユーザーにとっては不便に感じられる要素というものを抱えていることがあります。以下ではその点をふまえてDVB-S2チューナーについて紹介してみたいと思います。

【映像出力端子】



背面には色々な端子が用意されています。HD放送用としてはまずHDMI出力端子が用意されていますが、HDMI入力端子が無い場合もあるのでマルチテレビを新規に購入する場合は必ず有無を確認します。

HDMI端子が無い場合はコンポーネント接続となるので、コンポーネントケーブルと赤・白の音声ケーブルが必要になります。

チューナーの種類や大きさによっては従来のSCART、時にはコンポジット出力まで削られている場合がありますので、必要となる端子がHD海外衛星チューナーにあるかどうかをチェックして下さい。

なおDreamboxのHDチューナーであるDM8000やDM800にはHDMI端子が無く、かわりにDVI出力端子が装備されています。この場合、ハイビジョンテレビ側にDVI入力端子が無ければ、DVIから別の端子に変換するアダプタを使用する必要があります。

【デジタル音声出力端子】

多くのチューナーは上の写真にあるS/PDIF端子のような角型光ケーブル用のデジタル出力端子を装備していますが、赤・白・黄のコンポジット端子に形状が似ている同軸用の端子になっているチューナーがあります。

手持ちのコンポ等と接続する場合、コンポが角型端子でチューナー側が同軸端子というケースでは変換機器が必要となるため大変不便です。デジタル音声出力端子を活用する予定がある場合は必ず確認を行います。

なお、ごく非常に稀な例ですが会社がDolbyに権利料を払えないという理由からHD放送の音声がAC3の場合チューナーと接続したテレビから音が出ない製品の存在を海外フォーラムで見たことがあります。そのチューナーの場合回避方法として光デジタル音声出力端子からアンプを経由しないと音を出すという形が紹介されていましたが、レアなケースとしてはこのような不便があるようなので、購入前に検討しているチューナーの長所・短所を調べるあげることを強くお勧めしたいと思います。

【NTSC放送への対応】

欧州向けのモデルではNTSC放送の再生にまともに対応していないことがあり、実際に私が最初の頃に購入したHumax製HD海外衛星チューナーはPALのみが正常に再生できてNTSCは視聴に耐えるとは言いがたい簡易再生しか行わないという製品でした。

日本をカバーする海外衛星はNHK海外放送のNTSC方式ハイビジョン放送や台湾の通常SD放送を始め、多数のNTSCチャンネルを抱えています。そのため日本での使用を前提にHD海外衛星チューナーを買う場合には、必ずPALとNTSCの双方が正常に視聴できる機種かどうかをスペック表やウェブフォーラムで交換されている情報で調べます

なおPAL放送とNTSC放送ではフレームレートに違いがあり、1080iのハイビジョン放送でもPALの1080i50(50がフィールドレートによる表示で、フレームレートだと25フレーム?ちょっと曖昧に理解しているのですみません・・・。)とNTSCの1080i60(フィールドレートが60、30フレーム?)双方にチューナーが対応していないと、マルチテレビでの再生時に見苦しくなるので要注意です。

NTSC放送に対応していれば欧州モデルでも1080i60を正常に視聴できるはずですが、以前私が初期のTF7700HSCIを買った時にはNTSC再生に対応していながらも1080i60には対応しておらず動きがガクガクしていました。ひょっとすると今でもこのような“NTSCがOKなはずなのに1080i60は非対応”というチューナーがあるかもしれませんので、確認をお勧めします。

なお、このPAL、NTSCへの対応ですがファームウェアの更新が頻繁な機種だと後から修正されることが多いようです。どうしても欲しい機種が現行ではPALのみ対応でも、その会社の先行機種が途中のファームウェア改訂でNTSC対応を追加してきた履歴があるようであれば、機能追加待ちを承知の上で早めに買ってしまっても大丈夫な可能性は高いと思います。

【PAL←→NTSC変換機能】

海外衛星HDチューナーにはPAL-NTSC映像方式変換機能がついているものとそうでないものがあります。私も過去に所有していたTOPFIELD社製品はどれも変換機能が備わっておらず、PALはPALとしてのみ、NTSCはNTSCとしてのみ出力されるためマルチテレビの使用が必須でした。

変換機能はチューナーによりまちまちで、SD放送・HD放送共に動きがカクカクして見づらくなるものもあるので日本のNTSC専用テレビで見たい場合には要注意です。(HD放送の映像方式変換についてはページ下にまとめました。)

【出力解像度などの指定】

HDチューナーでは映像方式(PAL/NTSC)、出力解像度、画面比の設定を行うことができます。

通常のSD放送をアップスケールして720p、1080i(、更に高機能HDチューナーの場合は1080p対応のこともあり)として出力することも可能です。アップスケール時の画質についてはチューナーの性能次第で、これについては海外ウェブフォーラムで情報交換されていることもしばしばです。

私が過去に5台のチューナーを使った限りではどのチューナーもアップスケールに目立った問題は無く、チューナーによる性能差を明確に感じるほどの実感はありませんでした。ただウェブフォーラムの複数書き込みから1080iのインターレース出力にするよりはプログレッシブ出力の720pにした方が良いとの情報を得たので、とりあえずそれに従っている状況です。



PAL/NTSCの切り替えや出力解像度は、リモコンボタンで簡単切り替え可能な機種と、対応リモコンボタンが無く設定メニュー画面で切り替える機種とに分かれます。

リモコンに「aspect ratio」、「resolution」といったボタンがある場合にはこれを押すだけで576i→720p→1080iと変更できるので大変便利です。NTSC海外衛星放送が多いアジアではPAL-NTSC間の移動も多いこともあり、私の経験ではこの画面比・解像度変更リモコンボタンがあるのと無いのとではかなり使い勝手が違いました


メニュー画面でのみ出力解像度を変更できるチューナーの例

ちなみにIPBox 9000HDはそうしたボタンが無く、NTSC出力からPAL出力に戻すなどした際は切り替えのためにチューナーをリブートしなければいけないという仕様になっています。PAL方式、NTSC方式それぞれのSD放送-HD放送間を移動しながら視聴を行うケースでは背面電源ボタンをOFFにしてリブートをかける作業はかなり面倒です。

【画面比の変更】



SD放送の4:3映像を16:9ワイドテレビで横に引き伸ばしたくない場合は、画面設定で「Full」から「Pillar Box」モードに変更します。そうするとワイドテレビの両脇に黒帯が表示されます。

TF7700HSCIの初期にはこのPillar Boxモードが無く、後からファームウェア更新の際に追加されました。最近のHDチューナーにPillar Boxモードが無い製品がまず存在しないと思いますが、無いと困るのでメーカーHPにPDF説明書が用意されていたら一応確認して下さい。

なお、これ以外にも映像の一部を拡大するズームモード等が用意されていることもあります。4:3画面のテレビ用に16:9放送をSD化した物では上下に黒帯を表示してあることがありますが、それをカットする際に便利です。

【4:2:2放送への対応】

通常の海外衛星放送は4:2:0放送ですが、まれに4:2:2放送という物があり主にテレビ会社の素材伝送等に使われています。こうした4:2:2放送をPCではなく普通のテレビで見たい人は、対応HDTVチューナーを買う必要があります。

4:2:2放送に対応している家庭用チューナーは昔から少なく、HDTVチューナーでも状況は同様です。4:2:2放送を再生できるHDTVチューナーとしては当初Quali TVあたりが欧州では有名だったのですが、その後Linux機であるAZBox HDが主流となりました。

4:2:2に対応しているかどうかは、やはりこれもウェブフォーラムで情報を収集して確認することとなります。

【ツインチューナー】

海外衛星HDTVチューナーは複数のチューナーを積んでいることが多く、DVB-S2チューナーカード増設といった形で同一の箱に別々のハイビジョン対応海外衛星チューナーを搭載することも可能です。

しかしツインチューナーといっても単に裏録画する程度の物から、個別に独立してそれぞれのチューナーで別々のアンテナ駆動モーターを混同することなく回転させられる物まで様々です。

「単に裏録画できれば良い」というケースでは問題ありませんが、2基のアンテナ回転モーターをそれぞれのチューナーで個別に駆動したい場合は、殆どのHDチューナーが対応していませんので事前にウェブフォーラム等での確認が欠かせません。

【録画(PVR)機能】

PVR機能のあるチューナーではSD放送、HD放送の両方を録画できます。USB端子のみでHDD内部搭載できないモデルではUSBメモリかUSB接続の外付HDDに録画します。HD放送はファイル容量が大きいので、HDDを買う時はその点に注意します。

「PVR ready」と書かれているモデルは録画ができるものの、現時点では記録用装置が用意されておらず、後で自分でUSB接続外付HDDを用意したり、HDDをチューナーの中に組み込んだりする必要があります。

しかしその分価格が安く、自分で好きなHDDを選べるので便利でもあります。とりあえず録画の予定が無い場合は、PVR readyモデルを買うと良いです。

【Linuxチューナー】

海外衛星HDTVチューナーにはLinuxベースの物(→詳しくは別ページ)も数多くあるのですが、Linuxチューナーはバグの多い未完成品的な色彩が強いので、最初の1台は非Linuxチューナーをお勧めします。


■海外衛星HDTVチューナーの相場

日本国内でも何種類かの海外衛星HDTVチューナーを入手できますが、私の場合は全て海外通販で英国およびドイツから購入しました。

欧州ではシングルチューナーでHDD無しのHDTVチューナーは2万円程度、HDD搭載の中級機は3万円台後半~4万円台後半、更に高級機やLinuxチューナーで6万円以降、といった感じの価格帯で、エントリーモデルであれば送料込でも3万円以内に抑えることも可能です。


■日本の液晶ハイビジョンテレビでPAL放送の1080i50 HD放送を視聴

普段は液晶マルチテレビで海外衛星放送を見ているのですが、今回自宅にある日本モデルのNTSC方式専用テレビでテストをしてみました。





背面にあるHDMI端子、続いてD端子を試しました。なおD端子との接続にはコンポーネント→D端子変換ケーブルを使用しています。



チューナー側でPAL放送をPALで出力する設定にしていると、日本向けのテレビでは正常に再生できません。

例えばAZBox HDだとリモコンにあるResolutionボタンを押していると本体全面の文字パネルに詳細が表示されるので、それを見ながらPALからNTSC放送に切り替えることができます。この場合はマルチテレビが必要ないのですが、メニュー画面でしかNTSCに変えられない場合はメニュー画面で設定を変えるまでの間はマルチテレビが必要になることも考えられます。



とりあえず今回は無事にNTSCでの1080i出力に切り替わりました。メニュー画面でも設定を確認すると上のように変わっているのがわかります。

【NTSC方式のハイビジョン放送】



NTSC方式のハイビジョン放送は映像方式変換無しで再生されるので動きも滑らかで綺麗です。

【PAL放送のハイビジョン放送】



PAL放送のハイビジョン放送をNTSC方式の1080iに変換・出力してみました。手持ちのAZBox HD Elite、IPBox 9000HD PlusではHDMI端子、コンポーネント端子経由共に正常に再生されました。

SD放送、HD放送共に色彩の大幅な劣化も見られずなかなか良好な変換結果が得られました。しかし微妙に動きがカクカクすることがあり、特にIPBox 9000HDではPALの1080i50ハイビジョン放送等で動きにやや滑らかさが欠けているといった部分が感じられました。

AZBox HDも1080i60のNTSC放送をPALの1080i50や720pに変換すると多少動きがカクカクする傾向があり、画面を見つめ続けると酔うかもしれません。色は非常に綺麗なのですが、フレームレートの違いで完全でないようです。同じチューナーでは似たような理由からSD放送のPAL→NTSC変換でカクカクした動きになりました。

個人的な比較経験からすると、変換機能は無いもののPAL放送はPALとして、NTSC放送はNTSC放送として自動的に切り替えてくれる「Auto」モードがあるTF7700HSCIの時がボタン操作の必要も無くなかなか便利だったような気もします。


■PC用のDVB-S2チューナー

従来のDVB-S用と同様に、パソコン用の海外衛星HDTVチューナーというのも各種売られています。通常はパソコン内部に増設するチューナーボードの形ですが、ノートパソコンに使えるUSB外付DVB-S2チューナーというのも幾つか見かけます。(なおHD放送ではそれなれいの高スペックPCが必要となります。)

虎太郎

デジタル機器の好きな元文系人間です。家のあれこれで機材のメンテナンス継続が難しくなり海外衛星受信やPC自作は引退。

最近はPCやタブレットを使ったインターネットTV、STBのリモート視聴機能、Slingboxによるライブストリーミング、Android TV Boxにて国内外の放送を楽しんでいます。

所有Slingbox;
PRO-HD、350、500、M2

所有PC;
Windows 10、Windows 7

所有タブレット;
iPad、Android、Windows 10

その他;
Apple TV、Android TV Box