IPBox 9000HDをEnigma2とのデュアルブートで疑似Dreambox化

Dreambox/Enigma2
05 /16 2010
(2011年1月、作業の手順を大幅に追記しました)

下手に手を出すとチューナーに不具合が出そうだという不安から試したことの無かったIPBox 9000HD Plusのマルチブート化に今回挑戦してみることにしました。

■Linux海外衛星チューナーでのマルチブートについて

Linux海外衛星チューナーは普通のPCでWindowsとLinuxのデュアルブートにできるのと同じようにして、複数のファームウェアを単一のチューナーで利用することが可能です。

IPBox 9000HDも、メーカーが提供するマルチブート用プログラムをインストールすれば、メーカー開発の元々のファームウェアからの起動とDreamboxに使われているEnigma2インターフェースのIPBox移植用ファームウェアからの起動をブート時に選択できるようになっています。

大御所Linux海外衛星チューナーであるDreamboxが高価であること、また使用されているファームウェアのEnigmaがオープンソースで外部のユーザー達に開発の余地があることから、欧州ではDreambox以外のLinuxチューナーにEnigma(特に1と2のうち、Enigma2の方)を移植するための取り組みが盛んになされています。

Cuberevo(そのOEMがIPBox)は特にDreamboxの割安かつ画質の良い代替品として購入されることが多いせいか、比較的短期間でツインチューナーにも対応したEnigma2のファームウェア移植が進められ、現在ではだいぶバグが解消されてきているとのことです。

購入当初に比べて環境が整ってきたということで、今回ようやく私もデュアルブートを試すことにしました。


■同じ手順でデュアルブート化できる機種について

今回の手順でチューナーをデュアルブート化できるのは、OEM供給元である韓国のCubeRevoシリーズ、スロバキアのIPBox 900HD・9000HDシリーズ(現在はCubeRevoのOEMではない商品にシフトしている模様)、ベルギーのVizyonシリーズです。

国によって流通している機種が異なってきますが、欧州の海外衛星通販ショップであればいずれかの機種が容易に入手できます。


■手順

海外フォーラム(Digital Kaos等)の複数ページを参考にして、当方の環境に合わせた方法でデュアルブート設定を行いました。

●通常のCubeRevo用ファームウェアのインストール

CubeRevoメーカーサイトもしくはユーザーサイト・フォーラム等から、メーカー公式or準拠3rdパーティー開発ファームウェアをダウンロード。 USBメモリ経由でアップデートする場合は、「usb_update.img」と名称を変更した上でチューナーに転送する。

●マルチブート用ファイルのインストール

multiboot_config

韓国のメーカーサイトで、「multiboot_config」フォルダの圧縮ファイルをダウンロード。解凍してCuberevo(=IPBox 9000HD)用のファイルをUSBメモリに転送して、チューナーのUSB端子経由でインストール。この時もファイルを「usb_update.img」と名称変更しておく。

●USBメモリにLinux用Ext2パーティションを作成

LinuxのExt2ファイルを管理できるソフト(→詳細はこちら)、パーティション管理ソフトを既にインストールしてあった手持ちのPCで、不要となっていたUSBメモリ(2GB~がお勧めだとか)を2つのExt2プライマリ・パーティションに分割。

USBメモリの状態

そのままの状態ではFAT32なので、これをLinux用のExt2に変更する作業を開始。今回はひとまず全体をExt2にフォーマットし直してから、パーティション分割をすることに。

パーティション作成

「パーティションを作成する」メニューで、USBメモリを半分ずつぐらいに分割。Ext2パーティションができる。

●チューナー経由でUSBメモリにアクセス

USBメモリをチューナーに取り付け、チューナーを起動。現時点ではマルチブート環境下でリモコンの3番を押すと起動するよう設定されているCubeRevoファームウェアしかインストールされていないので、起動されるのはCubeRevoファームウェアの方になる。

FTPソフトでチューナーに接続。チューナー側の「/mnt/usb/usb0」フォルダを開く。

●Enigma2ファイルをUSBメモリに転送

ファイルの転送

インストールしたいIPBox 9000HD用Enigma2ファイル(今回のファイル名は「9000.tar.gz」)をダウンロード。FTPソフトを使って「/mnt/usb/usb0」に転送。

●シリアルケーブル経由でコマンド入力・ファイルを展開

今度はチューナー背面のRS-232端子とPCをシリアルケーブルで接続。KCCもしくはPuTTyといった海外衛星ウェブフォーラムで有名なソフトにて、Telnet接続を行う。

Telnet接続の設定

チューナーへログインするためのパスワードを設定しておく。今回使用したSifteamによる公式準拠ファームウェアではユーザー名がroot、パスワードがsifteamとなっている。CubeRevo公式ファームウェアではroot、relookと異なるので注意する。

KCC

こちらはKCCでのTelnet操作画面で、ユーザ名root、次にパスワードを入力。パスワードは入力しても白字で表示されないので、間違えないよう一字ずつ打っていく。

USBのファイルを展開
 
最初の行で「cd /mnt/usb/usb0」、次の行でUSBメモリにFTP転送しておいたファイル名を含む「tar xzvf 9000.tar.gz」とコマンドを打ち込む。使用したファイルが9000.tar.gz以外の名称であれば、その部分を変更する。間違えそうな場合は、PCのメモパッド等からコピー・ペーストすると楽で便利。

2行目を入力後Enterキーを押すとUSBメモリ内のファイルが展開され始める。これには時間がかかるので、作業が終わるまでのんびり待機する。

●デュアルブート化完了後、Enigma2での初起動

完了後、背面の電源ボタンを押してチューナーを再起動。IPBoxではマルチブート時にリモコンの数字を押すことで起動のオプションを選択するようになっており、内蔵HDDのある当方の環境でUSBメモリEnigma2から起動したい場合は、リモコン数字ボタン「2」を押しながら再起動する必要がある。


 1 boot with CDKroot(NFS)
 2 boot from USB memory stick, with internal HDD
 3 original images as current flash memory
 4 boot with NFS
 5 boot from USB memory stick, but without internal HDD
 6 boot from internal SATA HDD
 7 boot from flash memory for another image

オプションが多いので迷ってしまうが、通常はEnigma2を「2」から、CubeRevoファームウェアを「3」から起動するので、この数字だけを覚えておくので構わない。

初回の起動には数分かかるので、辛抱強く待ち何も触らないまま放置する。成功すればそのままブートが開始し、Enigma2の画面になる。


■作業の結果


メーカー製公式ファームウェアベースのサード・パーティー開発ファームウェアのメニュー画面


IPBox 9000HD(CubeRevo)向けに調整されたDreambox Enigma2インターフェースのメニュー画面

思ったよりも簡単な作業で、無事にIPBox 9000HD Plusの元のファームウェアを維持しながらも、USBメモリの利用により擬似的にDreambox化するという環境を実現することができました。

Dreamboxが欲しければ代替品よりも安定している本家のDreamboxを買うのが一番良いのですが、IPBox 9000HDにも画質が良い・ツインチューナー動作が完璧であるといった長所がありますし、それ以前に日本円に換算して十数万円もするDreambox上級機を買い足すことはまず無理なので(^_^;)、かねてから気になっていたマニア好みのEnigma2インターフェースをこうして体験できるというのはやはりありがたい話です。


■IPBoxの入手について

IPBox 9000HDとその姉妹機を売ってきたab-comはOEM契約を終了したそうで、同等品が欲しい場合にはCubeRevo社(旧社名;DGStation)のCubeRevoか、ab-comに代わりOEM契約を結んだらしいベルギーMetro International社のVIZYONシリーズを買うことになるようです。

虎太郎

デジタル機器の好きな元文系人間です。家のあれこれで機材のメンテナンス継続が難しくなり海外衛星受信やPC自作は引退。

最近はPCやタブレットを使ったインターネットTV、STBのリモート視聴機能、Slingboxによるライブストリーミング、Android TV Boxにて国内外の放送を楽しんでいます。

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